2015年8月11日火曜日

マウス精巣におけるGFRα1陽性の精子幹細胞の動態

 ほ乳動物の精子幹細胞は、「幹細胞の自己複製」の概念を最初に生みだした歴史的な細胞である(Clermont and Leblond, Am. J. Anat. 1953)。 しかし、その歴史的な役割とは別に、精巣の中の生きた精原細胞の挙動を調べることは困難であり、真の幹細胞の正体や自己複製の様式は十分に理解されないまま半世紀の月日が流れている。最近、我々は、ライブイメージングなどの発生生物学的手法を用いてマウス精巣内の生きた精原細胞のふるまいを丹念に追跡し、 精子幹細胞の実体の新説を提唱することに成功した(Hara et al., Cell Stem Cell 2014)。本会では、同成果を中心として、精巣内で躍動する幹細胞の知られざる姿を紹介したい。